・食文化体験ツアー @千葉県南房総市其の三
九月後半、なぜか急激に忙しくて、書くに書けなかった南房総村起こしツアーの記事、遅まきながら、第三弾「包丁式」のくだり、やっと此処にお伝えいたします(笑)。
高家神社に参拝の後、高部神社社務所にて、我々グルメブロガーの為に、平安の世から伝わる、四条流包丁式の儀を地元「たかべ庖丁会」の皆様の手で、古式に則り厳かに見せて戴きました。
最初に、たかべ包丁会の鈴木さんより、高家神社や庖丁式の起源などの説明を戴き、包丁式へ。
ところで、この鈴木さん、なんと我々同様のブロガーさん(笑)!!
おかげで以下の記事は鈴木さんのブログ「南房総千倉魚拓荘鈴木屋・サザエのつぶやき」を参考に書かせて頂きました。
所要時間は大体30分位。本来は40分を越える儀式でありますが、今回は我々ブロガーの為のデモンストレーションと言う事で短縮版とあいなりました。
四条流包丁道は、平安時代から始まる日本料理の流派。
その起源は、藤原山蔭(四条中納言)が、光考天皇の勅命により庖丁式の新式を定めた事に端を発しているとの事。
藤原山蔭が鯉をさばいてより始まった伝統の技法を烏帽子・直垂姿で再現、その庖丁と真魚箸のみを用いて、食材に手を触れることなくさばいていく姿は、優雅で荘厳なものであり、通常各地の神事などで奉納されるものだそうです。
この高家神社では、日本で唯一の料理の神、磐鹿六雁命をまつり、全国の料理人やミソ、しょう油の醸造関係者などの信仰を集めており、本来この包丁式の儀式は、毎年10月の旧神嘗祭と11月の新嘗祭に奉納しているものです。
そんな恐れ多いものをこの日は、勿体なくも我々ブロガーの為にわざわざ披露して下さった訳で、まさにスペシャル中のスペシャルイベントでございました(笑)!!
本日の式題は「菊花の鰍」。
この包丁式、鯉や鯛を季節の花に見立て包丁を入れて行くもので、春は桜に仕上げます。
当然今は秋、秋の花と言ったら菊、今回は鰍で厳かに、菊の大輪を咲かせます。
雅楽の音に乗って、第一の「まな板開きの儀」の始まりです。<BR>
烏帽子・直垂姿の
中央に置かれたまな板の四方と真ん中には、色紙につつまれた蛤が置かれています。
何の木なんでしょうか、檜ぽい白く分厚いまないたの上には、青、赤、白、黒の四つの蛤。
これは青龍・白虎・朱雀・玄武の陰陽定番の護りを配置したもの。
そして中央には黄色の蛤、これは五行思想、五味五色、五穀豊穣を表したもの。
そこに、烏帽子・直垂姿の包丁者があらわれます。
一番の包丁者が蛤を中央に集め、白い布で包み、布を外します
「まな板清めの儀」まな板を塩と水で清めます。
塩を払い、まな板を掃き清めます。
そして水をふり、まな板を拭き清めます。
「献魚の儀」
二番手の包丁者が、式に使用する鰍をまな板に準備します。ニキロ以上ある鰍を手を使わず、包丁と箸だけでまな板の中央に移動します。。
この見得の張り方、中々堂々としたもので、見るものを圧倒します。
これ、刺してるわけじゃありませんよ!!
ましてや、この箸の持ち方で、2キロ以上の魚持ち上げるなんてやっぱりたいしたものです!!
当然ですが、料理と言うより、完璧に儀式ですね。
ショーとしても十分見るに値する完成されたものです。
「献花・献刀の儀」
三番手の包丁者が、おごそかに花を捧げます。
料理する、魚や鳥の霊を慰め、食材に敬意を表す為でしょうか、
ここで、菊の花を捧げていよいよ、メインの当主の登場です!!
当主の方の、山吹色の直垂、威厳がありますね。
全てが厳かに、そして優雅に進みます。
やはりここでも、型が重要です。
いよいよ包丁が入り、頭が切断されます。
ちょっと大きめの魚をさばいた方ならわかると思いますが、
普通頭を落とすには、左手でしっかり頭を押さえ、力もしっかり必要です。
それが舞うように箸で固定しただけで落とすのですから、
やはり技術の凄さを感じます。
腹身も優雅に落とします。
内臓は前もって処理してあったようです。
そして、身を立てて、輪切りにおしていきます。
この箸の持ち方は、独特のものですね。
そしてこの長方形の包丁は、関西のタコ引きに似てますね。
輪切りにした鰍を菊の花のように並べていきます。
七つの花弁、中央に三切れを重ね、秋の菊の大輪がまな板の上に咲きました。
最後に菊の花で、包丁を納めます。
そして厳かに、式の終了です。
意外と、集中出来た30分でした。
料理とは、まったく違った、ほんとに古の調理人の姿に思いをはせる、
優雅で厳かな儀式でした。
この鰍は、高家神社に奉納されます。
デモンストレーションでありましたが、中々見れない貴重な儀式を見せて頂き、
ほんとに高家包丁会の皆様には、感謝いたします。
そして厳かな気分のまま、我々は、今回のツアーの一番の目玉、
「なめろうとサンガ焼き」の試食会にと移るのでありました。
アップが遅く申し訳ございません、この後、まだ五まで続きそうです…(冷汗)。
今年中に終わるかな…(笑)。
南房総食文化体験ツアー
ツアー、その一 ツアー、その二
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